10年の時を経ても「素敵だな」と思える服をコンセプトに男の子の撮影衣装を製作

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INTERVIEW

DESIGNER

10年の時を経ても
「素敵だな」と思える服

男の子の衣装を製作した鶴田剛郎さん。多面的なアプローチで服作りに取り組み、自身のブランドを持つ鶴田さんに、今回の衣装コンセプトやデザイン姿勢について聞いた。

Interview & text : Satsuki Gushiken

様々なイメージソースをもとに作りだす、美しい衣装

流行を捉えた“ファッション”とは異なる、ここにしかない“服”との出合いを実現する衣装。
様々な時代・歴史から、それも国内外を問わずいろいろな国の歴史と文化をひもとき、そこから得られるものをイメージソースに、 “服”というかたちで表現する。
そんな鶴田さんの姿勢があって、特別な衣装が誕生した。

「MARLMARLらしい細身のシルエットを意識しつつ、1920年代のヨーロッパやオランダ、明治から昭和初期の日本や1940~50年代のアメリカなどのエッセンスをディティールに盛り込んでいます。」

10年後も褪せない魅力を持つ服を目指して

「人が服を着た時のシルエットにはこだわりがあって、最低でも“10年着られる飽きのこない服”であることを常に考えながら服作りに取り組んでいます。」

子どもの成長は早く、だいたい1年もすると着られなくなる。「10年着られる服」の考えとは矛盾しているようにも感じられるが、撮影用の衣装だからこそできたことがある。

「10年経って、服そのものは成長して着ることができなくなっても、“素敵だな”という価値と撮影という体験・記憶を、時間を越えて共有できる。そんな服作りを目指しました。」

撮影自体は一瞬で終わっても、出来上がった写真を10年後に見て “素敵だな”と思ってもらえるような服を作る。その信念のもと、特別な一瞬のために作られた衣装は、素材や縫製などのパッと見には気づかないような細部に至るまで美しい。

新鮮さを失わない服作りの背景にある探究心

服を目にした時の新鮮な驚き。衣装の持つ魅力が失われないことの理由は、鶴田さんの服作りの根底にある“文化への共感と理解”にあるのではないか。

「衣装作りに用いられた、様々な国やその歴史の中に暮らした人々の衣服には多くの人の無意識化で共有されている生活スタイルや必要な機能、そして「美意識」が現れている。」

ある文化圏に暮らす人々にとっては「当たり前」のシルエットであっても、他の文化圏の人々にとっては新鮮に映る。
生活上の必然から生まれる機能美や無意識下で共有される美意識を抽出し、服を組み立てていく。しかし、そうした文化上のイレギュラーのみを用いているのではない。

「服を着た時に人が美しく見えるよう、服作りにはルールがあります。美しいシルエットや快適な着心地を追求して、ファッションの長い歴史とともにデザイナーや職人によって積み重ねられた経験がルールとして存在している。」

そうした“ルール”を踏まえて“エッセンス”を盛り込んでいるからこそ、他にない佇まいでありながら10年後も変わらずによいと思えるであろう衣装が出来上がった。

子どもならではの体型を美しく見せるために洋服にできること

子どものスタイルは、骨格から大人とは異なる。背の高さが違うのはもちろんのこと、首の長さやウエストの肉づきなど、子どもならではのスタイルを美しく見せるために試行錯誤を重ねたという。

「顔とボディーの比率を意識しながら、襟の作りをはじめ随所に手を入れています。手に取っていただくことで驚きや発見のある服になるよう、細部までこだわって作り上げました。」

10年の時を経ても変わらずにいいと思える服。
そんな衣装への期待が、手に取ったとき、そして出来上がった写真を目にしたとき確信に変わるだろう。

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