七五三に着てほしい、ここにしかない着物で記念日の写真撮影を

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INTERVIEW

DESIGNER

  七五三に着てほしい、
ここにしかない着物

スタイリストの角藤智美さんは、普段から着物で過ごし、着物をテーマにした個展を開催するほどの和服好き。自身の愛する着物への想いが詰まった衣装の、斬新な柄や和と洋をミックスした唯一無二のデザインについて聞いた。

Interview & text : Satsuki Gushiken

和と洋を織り交ぜた特別な着物

“着物”というと、私たちにはどこか“非日常”の印象があるが、日常身につけている洋服とは別に“着物=和服”というイメージが定着しているせいではないだろうか。

着物の歴史は、今から千年も昔の平安時代まで遡る。本来の着物は“服”という意味で用いられていたことからも、日本人の生活に寄り添ってきたことがわかる。

そんな、日本人のアイデンティティとでもいうべき存在でありながら、どこか縁遠い“和”“着物”が角藤さんの手によって再構築され、私たちが日常親しんでいる“洋”のエッセンスが加わった。七五三などの特別な日にふさわしい、オンリーワンの衣装だ。

描き起こした斬新な柄は、アンティーク着物から

まず目を引くのが一般的な“着物”とは異なる、色と柄が競い合うような趣のテキスタイル・デザイン。角藤さんが蒐集(※しゅうしゅう)し愛用しているアンティーク着物の生地をモチーフに描き起こした“リプロダクション”だ。

「年代は限定していませんが、明治から昭和初期にかけてのものが多いです。素敵だと思える柄にはなかなか出合えないので、骨董市などを探して歩きまわりました。」

衣装のモチーフとなったアンティーク着物は、明治・大正~昭和初期にかけて西洋から伝わり流行したアール・ヌーヴォー(*1)やアール・デコ(*2)など“洋”の影響が大きい。ちょうど明治・大正期の西洋では“ジャポニズム(*3)”がパリモードに影響を与え、“和”のエッセンスを盛り込んだ洋服が生み出されていた。

そういった時代背景もあり、衣装の柄には和と洋が混在し、不思議な魅力を放っている。

ただの和ではない、特別な一着にするために

柄に続いて目に入ってくるのが、オリジナリティあふれるシルエット。
「シルエットや細部のデザインなど和洋のさじ加減に苦心しました。あくまでも和服をベースにしたここにしかない着物を作りたかったから。」

着物をベースに、襟元や袖にシャツのデザインを取り入れたり、下身頃にギャザーを入れたものも。随所に洋のデザインを散りばめたことで、まさに唯一無二の着物が完成した。和を基調としたことによって、斬新ながらも日本人が着て似合うように仕上がっている。

あえての大きな柄でダイナミックに

インパクトの大きな着物は、あえて大人サイズの柄を採用したことがポイント。

「子ども服は和・洋を問わず小ぶりな柄が主流ですが、“見たことのない”服を作りたかったので大人と同じ寸の柄にしました。
女の子同士が並ぶと統一感があり、男女で並ぶと少しの違和感が生じつつ、着物デザイン全体で特別な世界観を表現しているところにも注目していただきたいです。」

子どもに媚びない世界観がMARLMARLとの共通点

衣装デザインにあたって、あえて自分らしさを前面に押し出した角藤さん。MARLMARLのシックな世界観からかけ離れたテイストを受け入れてもらえるか不安はあったものの、自身の表現したいことと全力で向き合った結果、スタジオの落ち着いた空間と調和して新しい世界観が構築されている。

*1 アール・ヌーヴォー
19世紀末から20世紀初頭にかけて流行した「新しい芸術」を意味する。植物など有機的なものに着想を得た曲線が特徴。

*2 アール・デコ
1910年代半ばから1930年代にかけてヨーロッパやアメリカを中心に流行した。幾何学的な模様が特徴で、日本では昭和初期の着物デザインに多く用いられた。

*3 ジャポニズム
日本の着物やその図柄が、フランスをはじめ西洋のファッションに影響を与えた。直線的なカッティングや平面的な型紙、緩みなどが特徴。

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